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Published on 4月 19th, 2014 | by Hirokazu

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シェエラザード/村上春樹(ネタバレあり)

先日記事にした雑誌「MONKEY Vol.2」に掲載されている、村上春樹の短編小説「シェエラザード」を読んだ。
装幀(扉絵)はクラフト・エヴィング商會

 

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今回の話は、長編小説の冒頭みたいな雰囲気。

最近の村上春樹短編で言えば、木野に近いイメージだ。
短編小説として描かれたわけではなく、長編小説の冒頭として描かれた、そんなふうに感じる。

何も分からない中物語は進んでいき、何も説明されないままに物語が終わる。

読んでいても分からなかったのが「ハウス」とは何か、ということだ。
「ハウス」というのが分からないから、なぜ主人公は「ハウス」にいるのかも分からない。

 

分水嶺

こういう「ハウス」みたいなものを、所与の条件としてすんなり受け入れられるかどうか、みたいなところが、村上春樹の小説を受け入れられるかどうかの分水嶺な気がする。

村上春樹の小説があまり好きではない、という人に会った時、どういうところが好きではないのか聞いてみると、「主人公がモテすぎ」とか、「当然のように描かれていることが全然当たり前じゃない」みたいな感想に出会う。

村上春樹の小説が好きな人は、そういった感想を特に抱かず、小説に出てくる事項を「まあ、そういうものなのかな」といった具合に、あるいはごく自然に、無垢に受け入れているのかもしれない。

 

 

ファンタジー、あるいはマジックリアリズム

村上春樹の小説を、マジックリアリズムと評する人もいるように、
村上春樹の小説は現実をベースとした、超現実的な、ファンタジーが入り交じる、そんな小説なんだと思う。

村上春樹の小説が好きな人は1つのファンタジーとして自然に小説を受け入れているのに対し、
村上春樹の小説があまり好きではない人は、「現実の延長としてのファンタジー」「現実の延長としての超現実」という感覚があまりないのかもしれない。

現実の描写が多いために、ノンフィクション的に捉えているのかもしれない。

 

「シェエラザード」の仏教的側面

「シェエラザード」では「やつめうなぎ」の話が出てくる。

シェエラザードは人間になる前は「やつめうなぎ」であり、水中から水面を眺めていたそうだ。
そして今は転生して人間になっている。
そんな過去の記憶である「やつめうなぎ」の時の話をする。

この「やつめうなぎ」の話に出てくる「輪廻転生」という概念は非常に仏教的であるし、
転生のないキリスト教では、このような話は出てこない。

日本人の感性を反映すると、このような宗教性も出てくるものなのかもしれない。
欧米の人(キリスト教徒)からすれば、この「輪廻転生」は異様な話に見えるかもしれない。
それとも、オリエンタリズムの延長として、「シェエラザード」の話を受け入れるのだろうか。

 

なにはともあれ、「シェエラザード」、少し不思議な感じで、さらっと読めます。
雑誌MONKEY自体も面白いです。
本屋で見かけたらまず手にとってみてはいかがでしょうか。

 

 

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僕らもバンドをやっていますので、良かったら聞いてみてください。
http://hellomrautumn.bandcamp.com
帰っておいでよ


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